事業者に着物の買い取りに来てもらったが、貴金属の買い取りも執拗に要求してきた。
相談内容
一人暮らしの母宅へ突然不要な着物を買い取ると電話があり、処分してもよい着物があったので後日来訪するよう伝えた。当日、若い男性が来て着物は300円で買い取ると言われた。 あまりにも安かったが、不要な物なので買い取ってもらうことにした。すると業者が、ついでに貴金属の鑑定をしてあげると言い、母が指につけていた祖母の形見の指輪をいきなり外しにかかった。 突然のことに驚いて必死で断ったが、他の物も見せるよう執拗に言われ、怖くて手持ちのネックレス、指輪、ブレスレットを見せた。すると業者は3 点全てを1,700円で買い取ると一方的に言い、代金と領収書を渡した。 他にもっと貴金属はないかと、なおもしつこく求めてきた。宝石3点はそれぞれ10万円以上もしたものなので納得できなかったが、怖くて断れなかった。契約してから3日経っているのだが、クーリング・オフできるだろうか。
ここに注意!
特定商取引法では、同法で定められた書面を売買契約の相手方が受領した日から8日間は、契約の解除等(クーリング・オフ)を行うことができます。クーリング・オフは書面で行うこととされており、その効力は当該書面を発した時から発生します。
消費者の方々へのアドバイス
- 特定商取引法では、勧誘に先立って、その相手に対して事業者の氏名または名称、勧誘の目的で来訪した旨、勧誘する対象の物品の種類を明らかにしなくてはなりません。(法第58条の5)
- 事業者は、訪問購入にかかる売買契約の締結についての勧誘の要請をしていない者に対し、営業所等以外の場所において、勧誘をし、又は勧誘を受ける意思の有無を確認してはいけません。(法第58条の6第1項)
- 勧誘の要請を受けた場合であっても、事業者は勧誘に先立って、相手方に勧誘を受ける意思があることを確認しなければなりません。(法第58条の6第2項)
- 訪問購入に係る売買契約を締結しない旨の意思表示をした者に対し、その訪問時においてそのまま勧誘を継続することや、その後改めて勧誘することが禁止されています。(法第58条の6第3項)
- 事業者は、契約の申込みを受けたときや契約を結んだときには、物品の購入価格、物品の特徴等を記載した書面を相手方に渡さなければなりません。(法第58条の7、法第58条の8)
- 訪問購入で勧誘する際の事業者の次のような行為は、禁止されています。(法第58条の10)
- 売買契約の締結について勧誘を行う際、または契約の申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、事実と違うことを告げること
- 売買契約の締結について勧誘を行う際、または契約の申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、故意に事実を告げないこと
- 売買契約を締結させ、または契約の申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、相手を威迫して困惑させること
- 売買契約の対象となる物品の引渡しを受けるため、引渡し時期その他物品の引渡しに関する重要な事項について、故意に事実を告げない、事実と違うことを告げる、又は相手を威迫して困惑させること。
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法定書面を受領した日から8日間はクーリング・オフができます。(法第58条の14)
なお、事業者が、クーリング・オフに関する事項につき事実と違うことを告げたり威迫したりすることによって、相手方が誤認・困惑してクーリング・オフしなかった場合には、上記期間を経過していても、相手方はクーリング・オフをできます。(クーリング・オフを行う際には、後々のトラブルをさけるためにも特定記録郵便、書留、内容証明郵便等で行うことが薦められます。)
また、クーリング・オフを実行した場合、契約解除の効果は第三者に及ぶことになります。(ただし、第三者がクーリング・オフされる可能性があったことについて善意かつ無過失であった場合を除く。) -
クーリング・オフ期間内は物品を手元に置いておくことができます。(第58条の15)
売買契約の相手方は、クーリング・オフ期間内は債務不履行に陥ることなく、事業者に対して契約対象である物品の引渡しを拒むことができます。