特定商取引法における電磁的記録によるクーリング・オフに関するQ&A
- Q1電磁的記録によるクーリング・オフとは、具体的にはどのようなものが該当しますか。
- A1
「電磁的記録」とは、電子的方式、磁気的方式のほか、人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの全てが該当し、消費者はこれによる通知を行うことでクーリング・オフが可能となります。代表的な例としては、電子メールのほか、USBメモリ等の記録媒体や事業者が自社のウェブサイトに設けるクーリング・オフ専用フォーム等により通知を行う場合が挙げられます。また、FAXを用いたクーリング・オフも可能となります。
- Q2事業者は、どのように電磁的記録によるクーリング・オフに対応しなくてはならないのでしょうか。
- A2
事業者においては、それぞれの事業環境等も踏まえ、合理的に可能な範囲で電磁的記録による通知の方法(例えば、電子メール、FAX)に対応していただく必要があります。
したがって、「電子メールでクーリング・オフを行う場合には、以下のアドレスにお送りください。」などと合理的な範囲内でクーリング・オフに係る電磁的記録による通知の方法を特定し、それを契約書面等に記載することにより、事業者が確認しやすいクーリング・オフに係る電磁的記録による通知の方法を示すことは妨げられるものではありません。
なお、事業者において一方的に通知の方法を不合理なものに限定すること(例えば、電子メールでアポイントを取るような訪問販売においてクーリング・オフを書面のみに限定し、電子メールによる通知を受け付けない場合や、契約締結に際して消費者から事業者に対する連絡手段としてSNSを用いたにもかかわらず当該SNSを用いたクーリング・オフの通知を受け付けない場合等)はクーリング・オフの方法を制限する消費者に不利な特約に該当し、無効となるもの(特定商取引法第9条第8項等)と考えられます。
- Q3事業者として、電子メールでのクーリング・オフの受付や、ウェブサイトにクーリング・オフ専用フォームを設けることを検討していますが、消費者との間でトラブル(消費者:「送った」、事業者:「届いていない」など)が生じないか心配です。
- A3
消費者が電磁的記録を発したかどうか、また、どの時点でそれを発したかに関する紛争が生じないように、事業者としては、電磁的記録によるクーリング・オフを受けた場合、消費者に対し、クーリング・オフを受け付けた旨について電子メール等で連絡をすることが望ましいと考えられます。
- Q4電磁的記録によるクーリング・オフを行う上で、消費者が気を付けるべきことはありますか。
- A4
まず、契約書を確認し、電磁的記録によるクーリング・オフの通知先や具体的な通知方法が記載されている場合には、それを参照した上で通知を行いましょう。
また、その際には、(書面によるクーリング・オフと同様に)事業者が対象となる契約を特定するために必要な情報(契約年月日、契約者名、購入品名、契約金額等)やクーリング・オフの通知を発した日を記載するようにしましょう。
加えて、クーリング・オフを行った証拠を保存する観点から、電子メールであれば送信メールを保存しておく、ウェブサイトのクーリング・オフ専用フォーム等であれば画面のスクリーンショットを残しておくといった対応を行うことが望ましいと考えられます。