訪問販売等の適用除外に関するQ&A

第26条第1項第1号関係:「営業のために若しくは営業として締結するもの」

Q1「誰でも簡単にすぐ稼げる」と電話で勧誘があり、興味があったのでその電話で情報商材を購入しました。しかし、家族に相談したところ反対されたので、クーリング・オフしたいのですが、お金を稼ぐ目的で購入したので、「営業のために若しくは営業として締結するもの」に該当して電話勧誘販売等の規制が適用されなくなるのでしょうか。
A1 特定商取引法が、取引に不慣れな消費者との間でトラブルが多い販売類型を規制していることを踏まえると、お金を稼ぐといった利益活動を行う意思があることのみをもって、「営業のために若しくは営業として締結するもの」に直ちに該当すると解されるものではありません。
「営業のために若しくは営業として締結するもの」に該当するかは、契約の対象となる商品又は役務に関する取引の種類、消費者が行っている(行おうとする)利益活動との関連性や目的、消費者が契約の対象となる商品又は役務を利用した利益活動に必要な設備等を準備しているかなどの事情を踏まえて、当該消費者が当該取引に習熟していると認められるかどうかを総合的に検討する必要があります。
設問の事例において、消費者の購入しようとする情報商材の内容が一般的なものではない、消費者が行おうとする利益活動が社会通念上事業の遂行とみられる程度の社会的地位を形成していない、消費者が契約の対象となる商品を利用した利益活動に必要な設備等を準備していないといった事情を踏まえて、当該消費者は当該取引に習熟しているとは認められないのであれば、「営業のために若しくは営業として締結するもの」に該当せず、適用除外の対象とはならないと考えられます。

法第26条第6項第1号関係:「その住居において売買契約若しくは役務提供契約の申込みをし又は売買契約若しくは役務提供契約を締結することを請求した者」

Q2ポスティングされたチラシに「鍵の修理3,000円~」とあったので修理を依頼したところ、業者が自宅に来て自宅の鍵の状態を確認し、修理には特殊な作業が必要ということで代金は数万円になると言われました。自分から事業者に依頼したので、「売買契約若しくは役務提供契約を締結することを請求した者」に該当して訪問販売の規制が適用されなくなるのでしょうか。
A2 特定商取引法第26条第6項第1号の規定による適用除外について、同号の「請求した者」とは、購入者が契約の申込み又は締結をする意思をあらかじめ有し、その住居において当該契約の申込み又は締結を行いたい旨の明確な意思表示をした場合が該当します。
設問の事例では、チラシの表示額と実際の請求額に相当な開きがあることから、消費者は、当初修理依頼をした段階では、安価なチラシの表示額で契約を締結する程度の意思しか有しておらず、実際に請求された高額な請求額で契約を締結する意思は有していなかったことは明らかです。
このような事情により、当該契約の申込み又は締結を行いたい旨の明確な意思表示をしたといえないのであれば、「請求した者」とはいえず、適用除外の対象とはならないと考えられます。

Q3外出先のコインパーキングで自動車のバッテリーが上がってしまい、ネットでロードサービス業者を検索し、「バッテリー上がり 3,000円~」とだけ表示されていたサイトをみて、ロードサービス業者に電話で作業を要請した。業者が現地に到着後、メニュー表を提示され、基本料金の他に作業別の料金が表示されていたが、具体的な料金の説明はなかった。約10分の作業時間でバッテリー上がりは解消したが、高額な料金を請求された。このような場合についても、特定商取引法第26条第6項第1号の規定による適用除外の対象とはならないと考えてよいでしょうか。
A3 設問の事例では、消費者は住居ではなく外出先のコインパーキングにおいて契約の申込みをし又は契約を締結することを請求した者であることから、特定商取引法第26条第6項第1号の規定による適用除外の対象とはならないと考えられます。 ※消費者の自宅に駐車していた自動車について事業者に修理を依頼したような場合は、Q2と同様の解釈になります。


(注1)上記については、特定商取引に関する法律のこれまでの解釈をより明確に示したものであり、解釈の変更を行ったものではありません。



(注2)Q&Aは、想定される事例における考え方を示したものです。具体的な事案においては、Q&Aにおける考え方を、その事案における事実に即して御活用ください。