解約を受け付けない旨の契約書面を理由に解約を拒否され、「もうすでに指輪は溶かしてしまったのでそもそも返せない。」と言われた。
相談内容
昨日、「金の買い取りをしています。」と自宅に業者が急にやってきた。「売るような金は持っていない。帰ってくれ。」と何度も断ったが、事業者に「査定だけでもで良いからさせて欲しい。」と言われ、家にあげた。金の指輪を査定してもらったところ、「これから金は絶対暴落する。売るなら今しかないですよ。」と言われ、不要な指輪であったこともあり、深く考えずに買い取りを承諾し代金を受け取った。しかし、知人から他の買取り業者に比べて買い取り価格が安いと言われた。契約から1日後に電話して、契約を解約し指輪を返品してほしいと伝えたら、「解約は受け付けないと説明し、その旨を書いた書面にも印鑑を押しているので解約には応じられない。指輪はもうすでに別の事業者に売ってしまっており、溶かされていると思うのでそもそも返せない。」と言われた。クーリング・オフできないか。
ここに注意!
特定商取引法では、同法で定められた書面を売買契約の相手方が受領した日から8日間は、契約の解除等(クーリング・オフ)を行うことができます。クーリング・オフできない、といった特約は無効とされます。
また、クーリング・オフ期間内であれば契約対象の物品を事業者に引き渡すことを拒絶することができます。
消費者の方々へのアドバイス
- 特定商取引法では、勧誘に先立って、その相手に対して事業者の氏名または名称、勧誘の目的で来訪した旨、勧誘する対象の物品の種類を明らかにしなくてはなりません。(法第58条の5)
- 事業者は、訪問購入にかかる売買契約の締結についての勧誘の要請をしていない者に対し、営業所等以外の場所において、勧誘をし、又は勧誘を受ける意思の有無を確認してはいけません。(法第58条の6第1項)
- 勧誘の要請を受けた場合であっても、事業者は勧誘に先立って、相手方に勧誘を受ける意思があることを確認しなければなりません。(法第58条の6第2項)
- 訪問購入に係る売買契約を締結しない旨の意思表示をした者に対し、その訪問時においてそのまま勧誘を継続することや、その後改めて勧誘することが禁止されています。(法第58条の6第3項)
- 事業者は、契約の申込みを受けたときや契約を結んだときには、物品の購入価格、物品の特徴等を記載した書面を相手方に渡さなければなりません。(法第58条の7、法第58条の8)
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訪問購入で勧誘する際の事業者の次のような行為は、禁止されています。(法第58条の10)
- 売買契約の締結について勧誘を行う際、または契約の申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、事実と違うことを告げること
- 売買契約の締結について勧誘を行う際、または契約の申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、故意に事実を告げないこと
- 売買契約を締結させ、または契約の申込みの撤回(契約の解除)を妨げるために、相手を威迫して困惑させること
- 売買契約の対象となる物品の引渡しを受けるため、引渡し時期その他物品の引渡しに関する重要な事項について、故意に事実を告げない、事実と違うことを告げる、又は相手を威迫して困惑させること。
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法定書面を受領した日から8日間はクーリング・オフができます。(法第58条の14)
なお、事業者が、クーリング・オフに関する事項につき事実と違うことを告げたり威迫したりすることによって、相手方が誤認・困惑してクーリング・オフしなかった場合には、上記期間を経過していても、相手方はクーリング・オフをできます。(クーリング・オフを行う際には、後々のトラブルをさけるためにも特定記録郵便、書留、内容証明郵便等で行うことが薦められます。)
また、例えばキャッチセールスやアポイントメントセールスの場合などは営業所で契約をしても特定商取引上では訪問販売となり、契約内容を記載した書面を受領してから8日以内であれば、書面によりクーリング・オフ(契約の解除)ができます。 -
クーリング・オフ期間内は物品を手元に置いておくことができます。(第58条の15)
売買契約の相手方は、クーリング・オフ期間内は債務不履行に陥ることなく、事業者に対して契約対象である物品の引渡しを拒むことができます。