訪問販売でリフォーム工事の契約をさせられた

相談内容

高齢で一人ぐらしの祖母が自宅に居たところ、見知らぬ事業者Aが訪れ「浴室塗装の点検をさせてください。キャンペーンにつき無料で行います。」と言われたのでお願いした。

事業者Aから「見えない場所が湿気で腐り始めています。早急に工事に取りかからないと家全体が潰れてしまいますよ。」と告げられ、浴室改修と屋根裏の補強工事について、総額125万円のリフォーム工事の契約を結び事業者Aに言われるがまま銀行へ行きその日のうちに全額支払ってしまった。

数日後、祖母を訪ねると、既に事業者Aが工事を始めており、祖母から契約のことを聞いた。

高額の契約であったこともあり、すぐに同業者の知人へ相談をしたところ工事の必要はなく、金額も通常半額程度で行っているのでクーリング・オフをした方が良いと助言を受けた。

契約書面を受け取った日から8日以内であったので、事業者Aにクーリング・オフ通知を出そうと連絡したところ、「もう工事が始まっている。今更クーリング・オフできない」と強い口調で言われてしまった。

当該契約をクーリング・オフすることはできないだろうか。

※高齢者や在宅の主婦を狙った訪問販売には、このような事例のほか、強引に屋根や外壁の修理、シロアリ駆除を勧めたり、高額な布団、浄水器、掃除機等を販売する事例も見られます。

ここに注意!

特定商取引法では、訪問販売業者は、勧誘に先立って、事業者の名称や商品の種類、商品販売などの勧誘目的で来訪したことを明示しなければなりません。

本件のように「浴室塗装の点検をさせてください」と契約や勧誘という目的を隠して居宅に上がり込んだ上で、契約の勧誘を行うことは法違反となります。

クーリング・オフ妨害があった場合には、クーリング・オフできる期間が延長されます。

たとえば「もう工事をする業者の手配も終わっている。今更クーリング・オフできない」と強く言われ、困惑してクーリング・オフを行わなかった場合には、契約内容を記載した書面を受領してから8日を経過していても、新たにクーリング・オフができることを明示した書面を交付した日から8日経過するまでクーリング・オフができます。

シロアリ等いないにも関わらず「シロアリがいる」といったような不実告知をしたり、重要事項の故意の不告知があった場合に、消費者が誤認して行った意思表示は取り消すことができます。

クーリング・オフの規定では、一部の商品について交付書類に「使用したなどの場合にはクーリング・オフできなくなる」ことが記載されていれば、その商品を使用したり、一部を消費したときにはクーリング・オフができなくなる場合がありますが、たとえば容易に包装し直せる商品の包装を破いただけでは「使ってしまった」とまでは言えません。

このようなケースは、通常はクーリング・オフが可能です。また事業者が、消費者に故意に商品を使用させたような場合もクーリング・オフをすることができます。

高齢者をターゲットにして悪質な訪問販売が行われるケースが見られます。

高齢な方の中には、とっさの判断力が乏しくなっていたり、若い人に比べて体力的に弱くなっていたりする方がいるためです。高齢者は突然の訪問販売の契約は、一人で判断せず、ご家族やご近所の方等に相談したり、契約に立ち合っていただくなど慎重な対応が必要です。

本当に適正な価格なのか、市価や他の事業者の販売価格と比較してみる必要があります。

悪質事業者との間で一度契約をしてしまうと、購入者の名簿が出回り、次々と新たな契約を勧誘される可能性もありますので、新たな契約の勧誘には、慎重に検討するなど特に注意が必要です。

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