「電話代が安くなる」「前の契約を解約してあげる」等と言われ電話機のリース契約をしたが、二重契約となっていた
相談内容
一人で材木店を営んでいた父が亡くなった。父の結んでいた電話機リース契約について相談したい。
5年程前、リース販売業者Xに「電話代が安くなる。」と言われ、電話機リースの契約を結んだ。電話機はそれまで主に家庭用に使用していたものを仕事用としても使用していた。
会社名でリース契約(リース会社A)をしており、事業者間契約のため、特定商取引法に基づくクーリング・オフは出来ないという説明があったとのことだった。今年9月上旬、別の販売業者Yが訪れ、「新機種が出たので取り替えてはどうか。旧機種の解約は当方でしておく。」と言われ別の機器を勧められた。当時、父はインターネットに興味があったので、インターネットを使えるようにして貰えると勘違いして契約してしまった(リース会社B)。
当時は、既に材木店としての営業実態はほとんどなく、電話は専ら家庭用として使用していたにもかかわらず、当該電話機には内線装置が40個もついていた。Yは父が契約書にサインすると、あっという間にリース会社Bの電話機を取り付け、前の電話機を持ち帰ってしまった。前のリース契約の残存分についてはYが処理してくれるとの説明だったが、前の契約の解約処理はなされぬままで、新旧2本のリース料の請求が来ている。10月に父が亡くなり、この契約に不信感を抱いたのでリース会社2社に契約解除を申し出たが、いずれの契約も事業者間の契約であり、特定商取引法に基づくクーリング・オフはできないと言われた。
-
近年、個人事業者等を狙った電話機等のリース契約に係る訪問販売についての苦情相談が増加していました。販売業者が事実に反して「今の電話は使えなくなる。」、「電話代が安くなる。」等と告げるなどして、長期間にわたり勧誘し、高額な電話機等のリース契約を締結させられることが多く見られました。その際、特定商取引法の適用を逃れるため、事業者間の契約であることを装い実質的に廃業している者にあえて屋号で契約させたりするなどの悪質な手口が横行しました。
また、事例にあるように、前の契約を解約すると言っておきながら解約せず、結果的に利用者が二重契約をさせられるなど、悪質な事例も見受けられます。
ここに注意!
本問題に係るトラブルの対応策として特定商取引法の通達では、事業者名による契約であっても、一定の事案については特定商取引法による救済が受けられることが明確になっています。
-
法第2条関係(「販売業者等」の解釈)
例えばリース提携販売のように、一定の仕組みの上での複数の者による勧誘・販売等であるが、総合してみれば一つの訪問販売を形成していると認められるような場合には、いずれも販売業者等に該当することを明示しました。 -
法第26条関係(「営業のために若しくは営業として」(第1項第1号)の解釈)
例えば、一見事業者名で契約を行っていても、事業用というよりも主として個人用・家庭用に使用するためのものであった場合には、原則として本法は適用され、特に実質的に廃業していたり、事業実態がほとんどない零細事業者の場合には、本法が適用される可能性が高いです。