ネットワークビジネスで大量の在庫をかかえてしまった。

相談内容

大学生である息子が「簡単に稼げるアルバイトがある」と友人の紹介を受けて、Xという連鎖販売業者の事務所に出向いた。事務所では友人とXの社員が「入会金3、000円を支払い、中国茶と浄水器(総額30万円)を購入すると会員になることができ、これを知人に勧めるか、あるいは知人を会員にするとマージンが貰える」と勧誘された。「誰にでもできる仕事であり、簡単に稼げる。中には月に100万円の報酬を得る者もいる。」等と説明され、魅力的なビジネスに感じて会員となったが、知人を勧誘しても誰も買ってくれないし、会員にもならないので大量の在庫を抱えてしまった。

※この事例のように、個人を商品などの販売員として勧誘し、さらに次の販売員を勧誘すれば収入が得られるとして商品の購入等をさせ、販売組織を連鎖的に拡大し、商品や役務の提供を行う商法を連鎖販売取引といいます。

ここに注意!

特定商取引法では、連鎖販売取引について勧誘をする場合には、統括者、勧誘者(統括者がその統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について勧誘を行わせる者をいう)又は一般連鎖販売業者は、その勧誘に先立って、統括者、勧誘者又は一般連鎖販売業者の名称や商品の種類、特定負担を伴う商品販売の勧誘目的である旨を明示することが義務づけられています。本件のように勧誘目的を隠したまま誘引し、事務所で勧誘が行われる場合は法違反となります。また、ホームパーティや同窓会などと目的を偽って告げられ、会場に行ってみると言葉巧みに勧誘され、その結果契約を締結させられてしまったというトラブルも見られますので、十分にご注意下さい。

勧誘に際して不実のことを告げられたり、故意に事実を告げない行為があった場合に、誤認して行った意思表示は、クーリング・オフ期間(20日間)経過後であっても、取り消すことができます。例えば「年収1億円稼いだ会員が居る」という勧誘が不実のことであり、誤認して契約したときには契約の意思表示の取消しが可能です。

一部の成功例を強調し、あたかも全員が成功するかのように勧誘してくることがあります。「必ず儲かる」というような話はありません。

消費者の方々へのアドバイス

イラストで事例を見る