以前締結した行政書士の契約を終わらせるために、再度契約をしなければならないか。
相談内容
2009年8月に電話勧誘販売業者Xより電話があり、以前受けていた行政書士の試験に合格にしていないので、再度契約が必要だと言われた。「Xと契約した覚えがない」と伝えると、「以前購入した行政書士の教材契約は、全行程のセミナーを受けて、最後の試験を終了しないと契約も終了しない」という話だった。確かに5年前に別の事業者Yから電話を受け、行政書士の教材を購入したが、勉強も試験も受けずにクレジット会社への支払だけすましている。「5年前にはそんな話は聞いていないし、これからもセミナーに行く気も試験を受ける気もないので、契約はしません。」とハッキリ伝えたところ、「今後一切このような案内が行かないようにするので、これから送る書面に必要事項を記入して返送して欲しい」と言われ、「分かりました」と答えた。
後日書面が届いたので、内容をみると、商品名が「行政書士教材」、契約金額は「409,500円」と記載されていた。支払い方法は現金振込で振込用紙が同封されており、支払期日が8月31日になっていた。「今後一切案内をしない」という書類を送ってもらうことには承諾したが、購入契約に承諾した覚えはない。クーリング・オフが8日間と赤字で書いてあるが、このような場合もクーリング・オフをした方がよいか。
※ 過去に受講した資格講座が終了しておらず、その口座を終了させるために、新たに教材等の購入契約を締結しなければならないと勧誘したり、あいまいなやりとりの回答をもって、契約の申込みをしたとして教材の売買契約書を送り付けてきたるするケースが見られます。このほか資格に合格するためと称して特別講座を勧めたり、あたかも公的な機関の関与があるかのような資格名称を騙り、「この資格は、間もなく国家資格に認定される。」等と虚偽のことを告げ、新たな資格講座や教材の購入契約を結ばせようとする事例が見られます。
ここに注意!
特定商取引法では、電話勧誘販売において、事業者の不実告知や重要事項の不告知があって誤認して契約した場合には、契約の意思表示の取消しができます。「近々、この資格は公的資格に認定される。」とか、過去の契約とは全く関係がないにもかかわらず、「過去の講座が終了しておらず、終了するためには新たな教材を購入する必要があります。」というような虚偽のことを告げられ誤認して契約してしまった場合も取消ができます。
また上記事例以外に、勧誘に際してあたかも公的な機関の関与があるようなことを騙る事業者が見受けられます、国等の公的機関がこうした勧誘に関与することはありません。
事業者の言うことを鵜呑みにせず、不明な点はきちんと確認をし、納得できなければ、はっきりと断ることが必要です。
消費者の方々へのアドバイス
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法定書面を受領した日から8日間はクーリング・オフができます。
また、事業者の側に不実告知又は威迫行為があり、消費者が誤認又は困惑してクーリング・オフを行わなかったときは、クーリング・オフ期限が延長されます。
(法第24条) -
勧誘に際して事業者側の不実告知や重要事項の故意の不告知により消費者が誤認して行った契約の申込みや承諾の意思表示は取消しができます。
(法第24条の2) -
過去に公的資格を取得するための講座や教材などを購入したことがあると、事業者間で契約者の名簿が出回っていることがあり、数年後に別の事業者から「国からの指導があり、あなたは契約を続けるか、やめるための手続きをしなければならない。」等と言って新たな契約の締結についての勧誘をされることがあります。
このような販売方法は資格商法の二次被害と呼ばれています。これは新たな契約の締結の勧誘であり、契約しなければならない義務はありません。不必要なものは、はっきりと断りましょう。 -
しつこい勧誘に対しては、契約しないことをはっきり言いましょう。
電話勧誘販売において、当該売買契約等を締結しない旨の意思を表示した消費者に対し、同じ電話で引き続き、又は再度電話をかけ直して勧誘をすることは、特定商取引法で禁止されています。曖昧な返事はせず、はっきりと契約する意思がないことを伝えましょう。
(法第17条) -
早く電話を切りたいために「とりあえず資料だけでも送ってください。」などと安易に資料などを請求することは、事業者に氏名、住所、電話番号などを知らせることになってしまいます。また、曖昧な返事をしたために、事業者から「あなたは資料の申込みをされたでしょう。それは契約したことになるのですよ。」と虚偽のことを言われ、契約の締結を迫られる悪質なケースが見られます。不必要な契約は、はっきり断ることが大事です。
【契約をしてしまったら】
<1.クーリング・オフ制度>
電話勧誘販売取引による契約は、契約内容を記載した書面を受領してから8日以内であれば、書面によりクーリング・オフ(契約の解除)ができます。
<2.契約の意思表示の取消し>
勧誘に際して事業者側の不実告知や重要事項の故意の不告知により消費者が誤認して行った契約の申込みや承諾の意思表示は、取消しができます。
<3.クーリング・オフ妨害があった場合>
事業者の側に申込みの撤回等について不実告知又は威迫行為があり、それにより消費者が誤認又は困惑してクーリング・オフを行わなかったときは、契約内容を記載した書面を受領してから8日を経過していても、新たにクーリング・オフができる旨を明示した書面を受領した日から8日経過するまでクーリング・オフができます。