通信販売広告Q&A

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通信販売をする場合

Q1通信販売で有料の情報配信サービスを提供する予定ですが、商品の販売は行わないので、特定商取引法の規制対象にならないと考えて良いでしょうか。
A1特定商取引法に定める通信販売の対象は、「商品若しくは特定権利の販売」又は有償で行う「役務の提供」です。「有料の情報配信サービス」が役務を有償で提供する契約に基づく場合は、特定商取引法の規制対象になります。
Q2消費者宅を訪問し契約する際、自社で持ち込んだタブレット端末を利用して契約手続を行う場合は通信販売になるのでしょうか。
A2特定商取引法は、訪問販売について、販売業者又は役務の提供の事業を営む者が営業所等以外の場所において、売買契約の申込みを受け、若しくは売買契約を締結して行う商品若しくは特定権利の販売又は役務提供契約の申込みを受け、若しくは役務提供契約を締結して行う役務の提供と定めています。本ケースの場合、事業者が消費者宅を訪問しその場で契約締結しているのであれば、自社で持ち込んだタブレット端末を利用して契約手続を行う場合についても、通信販売ではなく訪問販売に該当するものと考えられます。

広告をする場合

Q3インターネット通信販売を行う場合、特定商取引法の表示はどこにすればいいのでしょうか。
A3インターネット通信販売を行う場合、商品を紹介するランディングページや、販売業者等がその広告に基づき通信手段により申込みを受ける意思が明らかであり、かつ、消費者がその表示を受けて購入の申込みをすることができるものは、特定商取引法に定める広告に該当するため、当該広告内において特定商取引法第11条に定める事項を表示する必要があります。特に、商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(特定商取引法第15条の3第1項ただし書に規定する特約がある場合には、その内容を含む。)については「顧客にとって見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとって容易に認識することができるよう表示すること」と定められています。以下も御参照ください。

通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン


※なお、広告のみならず、契約の申込み段階においても表示しなければならない事項があります。詳細は、通信販売の申込み段階における表示についてのガイドラインを御参照ください。


販売価格(役務の対価)

Q4販売価格は実売価格を指しますか。
A4販売価格とは、実際に取引が行われる際に使用される価格(実売価格)です。市価、定価、希望小売価格、標準価格、当店通常価格等と称する価格が表示されていても、実際にはこれと異なる価格で販売している場合には、実売価格が表示されているとはいえません。
Q5当社では、販売価格は表示せずに定価のみを表示しており、消費者から問合せがあったときに販売価格をお知らせしています。この場合は構わないのでしょうか。
A5特定商取引法第11条ただし書において、「価格」、「送料」、「その他の負担すべき金銭」を全て表示しない場合には、消費者の請求によって、書面又は電子メール等により遅滞なく、販売価格等を提供することを広告中に記載することにより、販売価格等の必要表示事項の一部の表示を省略することが認められています。したがって価格が表示できない場合には、このような方法によってお知らせしてください。
Q6当社は、市場と連動して随時価格が変わる商品を扱っていることから、一定した価格を表示することができません。この場合にはどうすればいいのでしょうか。
A6販売価格が表示できない場合にはQ5のように必要表示事項の一部を省略できる特例を利用して、書面又は電子メール等により、個別に消費者に通知をする方法を選択することができます。なお、トラブルの未然防止の観点から、最高と最低の価格を表示し、消費者が支払う金額の目安を表示するなど、消費者にとっての目安となる金額を示すことが望ましいでしょう。
Q7当社は取り扱っている商品の点数が多いのですが、送料については個々に表示する必要がありますか。
A7一般に、送料は、商品の大きさ、重量、配達地域ごとに異なるため、最高と最低の表示、平均の表示、数例の表示等により消費者が自ら負担すべき送料についておよそ認識できるような分かりやすい表示となっていれば、個々の商品ごとに送料が表示されていなくても構いません。

販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭があるときには、その内容及びその額

Q8「代金引換手数料、梱包料がかかります」というような記載は可能ですか。
A8金額を明示することが必要です。梱包料や代金引換手数料は、事業者が設定した金銭を消費者に負担させるものであり、具体的に金額を記載しない場合には、あらかじめ消費者側でいくらになるのか予測することができないので、金額まで記載することが必要です。

商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)

Q9引渡時期については、どのように表示すればよいですか。
A9引渡時期は、期間又は期限として明確に表示する必要があります。例えば、「○日以内」、「○月○日まで」というように表示してください。「直ちに」や「即時」など、速やかに引き渡すことを意味する表現も、消費者の元へ商品が届く時期は明らかになっていると考えられるので、引渡時期の表示として可能です。
Q10「在庫のあるもの即日発送、予約は入荷次第」という記載があった場合には、引渡時期についての表示があると考えてよいでしょうか。
A10商品の引渡時期は、期間又は期限として表示することとされており、「入荷次第」という文言では時期を示したことにはなりません。これは、消費者が申し込んだ後、いつ商品を受領するか分からないと、消費者が不安定な状態に置かれることとなるためです。「○日以内」、「○月○日まで」という具体的な表示が必要です。
Q11「入金確認後発送します」という表示は、支払時期、商品の引渡時期を表示しているといえますか。
A11代金の支払時期については、前払いであることが推測できますが、商品の引渡時期については、期間又は期限として表示することが必要であり、「入金確認後発送します」と表示しているのみでは、引渡時期を明示しているとはいえません。「入金確認後、直ちにお届け」という表示の場合には、商品の引渡時期が表示されているものといえます。

商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(売買契約に係る返品特約がある場合にはその内容)

Q12通信販売にクーリング・オフの規定はありますか。
A12通信販売には、訪問販売等において認められているクーリング・オフの規定はありません。
もっとも、特定商取引法第15条の3は通信販売における売買契約の解除等について規定しています。すなわち、通信販売の際、消費者が売買契約の申込み又は売買契約を締結した場合でも、その売買契約に係る商品の引渡し又は特定権利の移転を受けた日から数えて8日以内であれば、売買契約の申込みの撤回や解除ができますが、売買契約に係る商品の引渡し又は特定権利の移転が既にされているときは、返品等については消費者が送料等を負担しなければなりません。ただし、事業者が広告であらかじめ、この契約申込みの撤回や解除につき、明瞭な表示により特約を明記していた場合(インターネット通信販売の場合は広告に明記し、かつ、いわゆる最終確認画面においても特約を明記していた場合)は、その特約に従うこととなり、必ず特定商取引法第15条の3の規定に基づき売買契約の申込みの撤回や解除ができるものではありません。
(契約の申込みの撤回や解除に関する事項については、顧客にとって見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとって容易に認識することができるよう表示することと定められています(特定商取引法施行規則第9条第3号)。以下も御参照ください。)

通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン

Q13「返品についてはその都度御相談に応じます」の表示は、返品についての特約を表示したものといえますか。
A13消費者が商品を購入するに当たり、当該商品を返品することができるか否かは購入に際しての意思決定を行う上での重要な要素の一つと考えられます。そのため法は申込みの撤回等についての特約(以下「返品特約」という。)がある場合はその内容(返品の可否、期間等返品の条件、返品に係る送料負担の有無)を明示することを義務付けています。したがって「返品についてはその都度御相談に応じます」などの表示は、商品の購入前にあらかじめ返品の可否を告げることにはなりませんので、返品特約がある場合はその内容を明示する必要があります。例えば、以下のA又はBのような記載が考えられます。
A:返品に応じる場合の例示(複数例)及び応じない場合の例示(複数例)を表示する。
B:「○○の場合以外は返品に応じます」というように、返品に応じない場合を除外例として示し、それ以外の場合には返品に応じることを表示する。
なお、上記は引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合する場合に返品に応ずるか否かを明確にする規定の説明ですが、他方、引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任について特約する場合には、そのことを表示することが必要です(販売業者の責任について特約しない場合には、民法の一般原則に従うことになります。)。
Q14返品を認めない場合にも、表示する必要がありますか。
A14返品特約(引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しており、販売業者に契約違反のない状態における返品特約)については、種類又は品質に関して契約の内容に適合している商品について返品を認めない場合には、その旨を広告に明示することが必要です。
返品を認めない場合であれば、具体的には、「商品に欠陥がある場合を除き、返品には応じません。」などと表示して、引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合している場合でも返品を受け付けないことを明確にする必要があります。
他方、引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合していない場合の販売業者の責任について特約する場合には、その内容を表示することが必要です(販売業者の責任について特約しない場合には、民法の一般原則に従うことになります。)。

事業者の氏名(名称)、住所、電話番号

Q15私は個人で事業をしています。個人事業者であっても事業者名を表示する必要があるのでしょうか。
A15事業を行う上で、責任の所在を明らかにすることは不可欠です。このため法人であれ個人であれ氏名又は名称を表示することが必要です。加えて事業者が法人の場合で、ウェブサイトや電子メール等を利用して広告をする場合には、代表者名又は通信販売に関する業務の責任者の氏名を表示することが必要です。通信販売に関する業務の責任者とは、通信販売に関する業務の担当役員や担当部長等実務を担当する者の中での責任者を指すものであり、必ずしも代表権を有する者でなくても構いません。ただし、消費者からの請求によって、広告表示事項を記載した書面又は電子メール等を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合には、事業者の氏名(名称)の表示を省略することも可能です。なお、ここでいう「遅滞なく」提供されることとは、販売方法等の取引実態に即して、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることをいいます。
Q16事業者の名称は屋号の表示で足りるでしょうか。
A16販売業者又は役務提供事業者の「氏名又は名称」については、個人事業者の場合は戸籍上の氏名又は商業登記簿に記載された商号を、法人にあっては登記簿上の名称を記載することを要し、通称や屋号、サイト名のみを表示することは認められません。
Q17私は個人事業者ですが、住所及び電話番号を必ず表示しなくてはいけないのでしょうか。
A17特定商取引法に基づき広告に表示することとされている住所及び電話番号は、事業を行う上で、トラブルが生じた場合や消費者から問合せがある場合の対応等に備えるためのものです。
そのため、「住所」については現に活動している住所、「電話番号」については確実に連絡が取れる番号を表示する必要がありますが、消費者からの請求によって、広告表示事項を記載した書面又は電子メール等を「遅滞なく」提供することを広告に表示し、かつ、実際に請求があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合には、事業者の住所及び電話番号の表示を省略することも可能です。なお、ここでいう「遅滞なく」提供されることとは、販売方法等の取引実態に即して、申込みの意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることをいいます。
Q18私は個人事業者ですが、バーチャルオフィス等の住所及び電話番号を表示することは可能でしょうか。
A18特定商取引法に基づき広告に表示することとされている住所及び電話番号は、事業を行う上で、トラブルが生じた場合や消費者から問合せがある場合の対応等に備えるためのものです。
そのため、「住所」については現に活動している住所、「電話番号」については確実に連絡が取れる番号を表示する必要がありますが、以下のような措置が講じられ、住所及び電話番号について上記の要件が満たされる場合においては、通信販売の取引の場を提供するプラットフォーム事業者やバーチャルオフィスの住所及び電話番号を表示することによっても、特定商取引法の要請を満たすものと考えられます。
    

・ 個人事業者がプラットフォーム事業者の住所及び電話番号を表示する場合、当該個人事業者の通信販売に係る取引の活動が、当該プラットフォーム事業者の提供するプラットフォーム上で行われること

・ 個人事業者がプラットフォーム事業者又はバーチャルオフィスの住所及び電話番号を表示する場合、当該プラットフォーム事業者又は当該バーチャルオフィスの住所及び電話番号が、当該個人事業者が通信販売に係る取引を行う際の連絡先としての機能を果たすことについて、当該個人事業者と当該プラットフォーム事業者又は当該バーチャルオフィス運営事業者との間で合意がなされていること

・ 個人事業者がプラットフォーム事業者又はバーチャルオフィスの住所及び電話番号を表示する場合、当該プラットフォーム事業者又は当該バーチャルオフィス運営事業者は、当該個人事業者の現住所及び本人名義の電話番号を把握しており、当該プラットフォーム事業者又は当該バーチャルオフィス運営事業者と当該個人事業者との間で確実に連絡が取れる状態となっていること
    

ただし、個人事業者、プラットフォーム事業者又はバーチャルオフィス運営事業者のいずれかが不誠実であり、消費者から連絡が取れないなどの事態が発生する場合には、特定商取引法上の表示義務を果たしたことにはなりません。

Q19住所表示については、登記簿・住民票記載の住所や、実際に活動している住所を表示する必要があるとされていますが、郵便により連絡をとることが可能な私書箱表示でもよいでしょうか。
A19特定商取引法での「住所」とは、会社の場合には本店の所在地等、営業上の活動の拠点となる場所を指すものです。私書箱を表示しても、このような場所を表示したことにはならないので、「住所」の表示をしたことにはなりません。
Q20電話番号を記載すると、24時間いつでも電話がかかって来ますが、対応しなければならないのでしょうか。
A20一般常識として夜間等営業を行っていない時間帯については、留守番電話等を利用することは構いません。

契約を2回以上継続して締結する必要があるとき

Q21通信販売の広告には、販売価格、代金の支払時期及び方法、商品の引渡時期等を表示することとされていますが、期間の定めを設けていない定期購入契約の場合は、表示事項のうち「販売価格」及び「代金の支払時期、商品の引渡時期」をどのように表示したらよいでしょうか。
A21通信販売の広告には、販売価格、代金の支払時期及び方法、商品の引渡時期等を容易に認識できるよう表示する必要があります。
例えば、期間の定めを設けていない定期購入契約については、以下の①又は②の場合のいずれも法の適用対象となります。通信販売において広告をするに当たっては、以下に例示する方法に従っていただくことが望ましいと考えられます。

①当初から期間の定めを設けていない定期購入契約として契約が締結される(締結される契約が1回である)場合
このような場合は、法第11条各号の規定に従って、販売価格、代金の支払時期及び方法、商品の引渡時期、その他の販売条件等を表示する必要があります。
その際、特に問題になるのは、消費者が支払うこととなる金額(各回の商品の代金、送料及び支払総額等)や契約期間(商品の引渡しの時期及び回数)であると考えられます。
消費者が支払うこととなる金額については、期限の定めがない場合には総額を表示することができませんので、例えば、半年分や1年分など、まとまった単位での購入価格を目安として表示するなどして、当該契約に基づく商品の引渡しや代金の支払が1回限りではないことを消費者が容易に認識できるようにすることが望ましいと考えられます。また、その際、半年分、1年分といった期間が定期購入の契約期間と誤認されることがないよう、これらの期間は、あくまで目安にすぎないことを明確に示す必要があります。 契約期間については、当該契約が消費者から解約通知がない限り契約が継続する無期限の契約である旨を、消費者が認識しやすいように示す必要があります。

②当初は有期の定期購入契約(1回限りの売買契約である場合を含む。)であるが、特に消費者からの解約通知がない限り契約が自動的に更新され、期間の定めを設けない定期購入契約が締結されることとなる(締結される契約が2回以上となる)場合
このような場合は、当初の有期契約の部分について法第11条各号の規定に従って表示する必要があり、その際、法第11条第6号に基づく施行規則第23条第7号の規定に従って、商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要がある旨及び金額(支払総額)、契約期間その他の販売条件を表示する必要があります。2回目以降の契約について期限の定めがない場合の金額、契約期間等の表示の考え方は、①を参照してください。
  

※最終確認画面における表示について 通信販売においては、広告のみならず、最終確認画面(契約の申込み段階)においても販売価格、代金の支払時期及び方法、商品の引渡時期等を明確に表示する必要があります。2回目以降の契約も有期契約である場合には、通信販売の申込み段階における表示についてのガイドラインの書面例3のように、初回契約部分と2回目以降の契約部分についての総額をまとめて表示することとしても差し支えありませんが、2回目以降の契約について期間の定めがない場合は、初回の契約部分についての総額を示した上で、2回目以降の契約部分についての総額の目安(1年間で○万円等)を初回部分と分けて表示することが望ましいと考えられます。詳細は、通信販売の申込み段階における表示についてのガイドラインを御参照ください。